卦辞

亨(とお)る。獄(ごく)を用いるに利(り)あり。

噬嗑(噬嗑)の卦は、口に障害物が挟まり噛み合わない状態を、強靭な意志で噛み砕き、再び統合を図る象徴です。卦辞にある「亨(とお)る」とは、停滞の原因を断ち切ることこそが、真の調和と発展への道であることを示唆しています。

現代社会において、この卦は「決断と秩序の回復」を強く求めています。日々の暮らしで、対人関係の軋み、組織の不透明なルール、あるいは自身の迷いや悪癖といった「障害」に直面した時、それを曖昧に放置せず、毅然とした態度で対処すべき時です。それは他者への厳しさであると同時に、自身を律するための心理的な矯正でもあります。

ただし、それは単なる感情的な怒りや攻撃性ではありません。公平な正義に基づき、問題の核心を的確に「噛み砕く」知恵が必要です。今こそ、困難から目を逸らさず、断固とした措置を講じて流れを正常に戻してください。障害を克服した先にこそ、これまで以上の安堵と進展が約束されているのです。

卦体

初九

屦(あしかもかせ)を校(は)めて趾(あし)を滅(めっ)す。咎(とが)なし。

六二

膚(はだえ)を噬(くら)いて鼻を滅(めっ)す。咎なし。

六三

臘肉(ろうにく)を噬(くら)いて毒に遇(あ)う。小(すこ)しく吝(りん)なれども、咎なし。

九四

乾胏(かんし)を噬(くら)いて、金矢(きんし)を得。艱(かた)く貞(ただ)しければ吉なり。

六五

乾肉(かんにく)を噬(くら)いて、黄金を得。貞(ただ)しければ危(あやう)けれども、咎なし。

上九

何(か)を校(は)めて耳を滅(めっ)す。凶なり。