卦辞

往(ゆ)くところあるに利(り)あり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。

「益」とは、増大、利益、そして進歩を象徴する卦です。上卦の風が下卦の雷を吹き、勢いを増す様子は、内なる活力が外へと広がり、万物を活性化させる時を表します。卦辞にある「利有攸往,利涉大川(往くところありて利ろし、大川を渉るに利ろし)」は、ためらうことなく前進し、一見困難に見える大きな課題も乗り越えられることを示唆しています。

現代の日常において、この卦は「行動による拡大」の好機を告げています。今抱いている計画や、新たな学び、あるいは人間関係の構築といった前向きな変化を起こすには、絶好のタイミングと言えるでしょう。しかし、ここで重要なのは、単なる物質的な獲得ではなく、自己の研鑽や他者への貢献という「与える」姿勢です。誠実な行いが巡り巡って自分を豊かにするという心理的真理が、この卦の根底にあります。

したがって、迷いを捨て、一歩を踏み出す勇気を持ってください。リスクを恐れず、自身の成長と周囲との調和を目指して進むとき、大きな川を渡るような困難さえも、あなたをさらに高めるための貴重な糧となるでしょう。

卦体

初九

用(もっ)て大作(だいさく)をなすに利あり。元(げん)吉なり。咎(とが)なし。

六二

或(あるい)はこれを益(えき)するに十朋(じっぽう)の亀(き)を以(もっ)てす。違う克(あた)わず。永(なが)く貞(ただ)しくして吉なり。王用(もっ)て帝(てい)に享(きょう)す、吉なり。

六三

これを益(えき)するに凶事(きょうじ)を以(もっ)てす。咎なし。孚(まこと)ありて中行(ちゅうこう)し、公(こう)に告(つ)ぐるに圭(けい)を用(もっ)てす。

六四

中行(ちゅうこう)し、公に告げて従(したが)わる。用(もっ)て国を遷(うつ)すに依(よ)るに利あり。

九五

孚(まこと)ありて心(こころ)恵(めぐ)む。問うなかれ元(げん)吉なり。孚ありてわが徳を恵(めぐ)む。

上九

これを益(えき)するなく、或(あるい)はこれを撃(う)つ。心を立つるに恒(つね)なし。凶なり。