卦辞
亨(とお)る。震(しん)来(きた)ること虩虩(げきげき)たり。笑言(しょうげん)啞啞(ああ)たり。震(しん)百里(ひゃくり)を驚(おどろ)かす。匕鬯(ひちょう)を喪(うしな)わず。
「震」の卦は、天地を揺るがす雷鳴のような、突然の衝撃や変化を象徴しています。卦辞にある「震来虩虩(しんらいげきげき)」とは、その瞬間に感じる本能的な恐れを表しますが、それは決して恥ずべきものではなく、危険を察知して自己を守るための重要な警鐘です。現代社会においても、予期せぬ失敗や急激な環境の変化は、私たちの心を不安にさせます。しかし、真の知恵は、この動揺の直後に訪れる「笑言哑哑(えいげんあくあく)」、すなわち揺るぎない平静さと余裕にあります。
百里を驚かすような激変に直面しても、「匕鬯(ひちょう)」を落とさないとは、外部の混乱に巻き込まれず、自分の内にある大切な信念や役割を守り抜くことです。日常生活において、もし突然の試練に遭遇したなら、まずはその衝撃を受け止め、自分の芯となる価値観を再確認してください。恐怖を冷静さへと昇華させ、揺るがぬ心の軸を持つことで、あらゆる危機はむしろ新たな飛躍への契機となるでしょう。
卦体
震(しん)来(きた)ること虩虩(げきげき)たり。後(のち)には笑言(しょうげん)啞啞(ああ)たり。吉なり。
震(しん)来(きた)ること危(あやう)し。億(おもんばか)りて貝(ばい)を喪(うしな)う。九陵(きゅうりょう)に躋(のぼ)る。追(お)うなかれ、七日にして得ん。
震(しん)蘇蘇(そそ)たり。震(しん)行(ゆ)けば眚(わざわい)なし。
震(しん)遂(つい)に泥(なず)む。
震(しん)往来(おうらい)して危(あやう)し。億(おもんばか)りて喪(うしな)うなし。事(こと)あり。
震(しん)索索(さくさく)たり。視(み)ること矍矍(かくかく)たり。征(ゆ)けば凶なり。震(しん)その躬(み)に在(あ)らずしてその隣に在れば、咎(とが)なし。婚媾(こんこう)に言(こと)あり。