卦辞
小(すこ)しく亨(とお)る。往(ゆ)くところあるに利(り)あり。大人(たいじん)を見るに利あり。
巽(そん)の卦は、二重の風が重なる象徴であり、柔軟かつ持続的な力が物事の本質に浸透していく様を表しています。卦辞にある「小亨」は、今は派手な成果や劇的な変化を求める時ではなく、謙虚な姿勢で細部に丁寧に向かうことが、やがて大きな道を開く鍵となることを示唆しています。
現代の日常生活において、この卦は「順応の知恵」を説いています。仕事や人間関係で行き詰まった際、力ずくで障害を突破しようとせず、風のように隙間を見つけて進む柔軟性が求められます。頑固な自我を捨て、周囲の意見に耳を傾け、状況に合わせて自らを変えることこそが、真の強さなのです。
また、「利見大人」は、単に偉人を訪ねるだけでなく、自身の内なる理性的な判断や、優れた指導者の助言を重視すべきことを意味します。焦って大きな飛躍を試みるよりも、一歩一歩着実に、しかし柔らかく、粘り強く目的を追求すること。そのような静かな浸透力こそが、現在の状況を好転させるための最良の戦略となるでしょう。
卦体
進退(しんたい)す。武人の貞(てい)に利あり。
巽(そん)して床下(しょうか)に在(あ)り。史巫(しふ)を用いること紛若(ふんじゃく)たり。吉にして咎なし。
頻(しき)りに巽(そん)す。吝(りん)なり。
悔(くい)亡(ほろ)ぶ。田(かり)して三品(さんぴん)を獲(え)る。
貞(ただ)しければ吉にして悔亡ぶ。利(り)あらざるなし。初(はじめ)なくして終わりあり。庚(こう)に先立つこと三日、庚に後(おく)れること三日。吉なり。
巽(そん)して床下(しょうか)に在り。その資斧(しふ)を喪(うしな)う。貞(ただ)しけれども凶なり。