卦辞
元(おお)いに亨(とお)りて貞(ただ)しきに利(り)あり。往(ゆ)くところあるに用(もち)うるなかれ。侯(こう)を建(た)つるに利あり。
屯(ちゅん)の卦は、万物が萌え出るものの、未だ硬い地中に阻まれている「創造の苦悩」を象徴しています。混沌として見える状況の裏には、確かな成長の可能性が秘められており、それが「元亨」という言葉の真意です。
したがって、現在の不透明な状況に対して、焦って無謀な行動に出ることは避けるべきです。「勿用有攸往」と戒めるように、今は外へ向けて拡大するよりも、内なる力を養う時期といえます。現代の日常生活でいえば、新しい挑戦やキャリアの始まりにおいて、即座に大きな成果を求めず、まずは自身のスキルや人間関係という足場を固めることに専念すべきでしょう。
そして「利建侯」とは、自らを律し、周囲と協調するための基盤を築くことを意味します。孤独に闘うのではなく、信頼できるパートナーや自身の原理原則といった「拠り所」を確立することが不可欠です。忍耐強く現状の整理と準備を整えることこそが、混沌を秩序へと変える知恵なのです。
卦体
磐桓(ばんかん)たり。貞に居(お)るに利あり。侯を建つるに利あり。
屯(ちゅん)如(じょ)たり。邅(てん)如たり。馬に乗ること班(はん)如たり。寇(あだ)するにあらず、婚媾(こんこう)せんとす。女子貞(ただ)しくして字(あざな)せず、十年にして乃(いま)だ字す。
鹿(しか)に即(つ)くに虞(ぐ)なし。ただ林中に入る。君子は幾(き)を見て舎(す)つるに如(し)かず。往けば吝(りん)なり。
馬に乗ること班(はん)如たり。婚媾を求む。往けば吉にして利(り)あらざるなし。
その膏(こう)を屯(とど)む。小(しょう)なれば貞(ただ)しくして吉。大(だい)なれば貞しくして凶。
馬に乗ること班(はん)如たり。泣血(きゅうけつ)漣(れん)如たり。