卦辞

吉なり。原筮(げんぜい)して、元(おお)いに永(なが)く貞(ただ)しければ咎(とが)なし。寧(やす)からざるもの方(まさ)に来(きた)る。後(おく)るる夫(お)は凶なり。

【比】の卦は、水が地に浸透し密着する如く、人と人、あるいは自己と社会が深く調和し結びつく「親和」の時を象徴しています。これは単なる物理的な集まりではなく、精神的な共鳴と信頼に基づいた関係の構築を意味します。吉とある通り、他者と協力することで大きな力が生まれる時です。

現代生活において、この卦はチームワークやパートナーシップ、コミュニティへの参加を促しています。しかし、安易な迎合を戒めるものでもあります。「原筮」とあるように、関係を始める前に自らの真心を問い直し、純粋な動機で他者と向き合うことが求められます。長く持続する絆には「永貞」、即ち揺るぎない誠実さと継続意志が不可欠です。

また「後夫凶」との言葉は、迷いや不信感から決断を遅らせることのリスクを示唆しています。周囲が動き出し、新たな秩序が形成されようとする時、エゴや恐れから一歩引いていては、取り残されてしまうでしょう。今は自らの心を開き、信頼できる他者と歩調を合わせる積極性が必要です。誠実さを武器に協調の道を歩むことで、内なる安寧と外的な成功がもたらされるのです。

卦体

初六

孚(まこと)ありてこれに比(ひ)す。咎なし。孚ありて缶(ふ)に盈(み)つ。終(ついに)来(きた)りて他(た)あれば吉なり。

六二

これに比(ひ)すること内(うち)よりす。貞にして吉なり。

六三

これに比(ひ)するに非(ひ)人にす。

六四

外(そと)よりこれに比す。貞にして吉なり。

九五

比(ひ)を顕(あき)らかにす。王三(みたび)駆(く)を用いて前の禽(とり)を失う。邑(ゆう)人(じん)誡(いまし)めず。吉なり。

上六

これに比(ひ)するに首(こうべ)なし。凶なり。