卦辞

征(ゆ)けば凶なり。利(り)するところなし。

「帰妹」の卦は、情熱や衝動が理性を凌駕し、本末転倒な状態に陥っていることを象徴します。「征凶、無攸利」という卦辞は、現状のまま無理に事を進めても、徒労に終わる可能性が高いことを諭しています。これは決して悲観的な予言ではなく、あなたの内なる足元の脆さを指摘し、軌道修正を促す哲学的な警鐘です。

現代の日常生活において、この卦は「焦燥感」や「一時的な快楽」に基づいた意思決定への警告となります。例えば、不安を埋めるためだけに急いで関係を進めたり、準備不足のまま見栄だけで大きなプロジェクトに着手したりすること。表面的な喜びや高揚感に惑わされると、長期的な安寧や真の実りを得ることは困難です。

したがって、今の最良の知恵は「内省と待機」にあります。外部の結果を求めてあがくのではなく、一度立ち止まって自己の動機を見つめ直してください。揺るぎない基盤が心の中に築かれるまで、時を待つ忍耐こそが、最も確実で力強い前進への道となるのです。今は、行動するよりも、自分自身を整える時期と捉えましょう。

卦体

初九

帰妹(きまい)するに娣(てい)を以(もっ)てす。跛(あしなえ)にして能(よ)く履(ふ)む。征(ゆ)けば吉なり。

九二

眇(めし)いて能(よ)く視(み)る。幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利あり。

六三

帰妹(きまい)するに須(しゅ)を以(もっ)てす。反(かえ)りて帰(とつ)ぐに娣(てい)を以てす。

九四

帰妹(きまい)期(とき)を愆(あやま)る。遅(おく)れて帰(とつ)ぐに時あり。

六五

帝乙(ていいつ)、妹(いもうと)を帰(とつ)がす。その君(きみ)の袂(たもと)は、その娣(てい)の袂の良(よ)きに如(し)かず。月幾(ほとん)ど望(ぼう)なり。吉なり。

上六

女(じょ)は筐(かたみ)を承(う)くれども実(じつ)なし。士(し)は羊を刲(さ)くも血なし。利するところなし。