卦辞
貞(ただ)しければ吉なり。頤(い)を観(み)、自(みずか)ら口実(こうじつ)を求む。
「頤(い)」の卦は、単なる摂食を超え、生命を養う根源的な智慧を説いています。卦辞にある「観頤(かんい)」とは、自らが何を心身の糧として取り入れているかを深く観察することを意味します。現代社会は情報が溢れており、私たちは無意識のうちに多くの「言葉」や「感情」を摂取しています。真の養とは、質の高い知識や健全な人間関係を選別し、意識的に内面に取り入れる行為です。ネガティブな情報を遮断し、魂を浄化することもまた、大切な養いとなるでしょう。
また、「自求口実(じきゅうこうじつ)」すなわち「自ら口実を求む」とは、他者からの施しや評価を待つのではなく、自らの力で生きる糧を得る自立の姿勢を示唆しています。これは、自身の才能や情熱を磨き、独自の価値を生み出すことへの強い呼びかけです。依存心を捨て、自分の足で立ち、内なる声に耳を傾けることでこそ、精神的な充足と真の豊かさがもたらされます。日々の生活において、何を食べ、何を考え、誰と過ごすか。その一つひとつの選択が、あなたの運命を形作るのです。
卦体
爾(なんじ)の霊亀(れいき)を舎(す)て、我を観(み)て頤(あご)を垂(た)る。凶なり。
頤(い)に顚(さかさ)ます。経(つね)に拂(もと)りて丘に頤(やしな)わる。征(ゆ)けば凶なり。
頤(い)に拂(もと)る。貞(ただ)しけれども凶なり。十年用(もち)うるなかれ。利(り)するところなし。
頤(い)に顚(さかさ)ます、吉なり。虎視(こし)眈眈(たんたん)として、その欲(よく)逐逐(ちくちく)たり。咎なし。
経(つね)に拂(もと)る。貞(ただ)しきに居(お)れば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るべからず。
頤(い)に由(よ)る。危(あやう)けれども吉なり。大川を渉るに利あり。